人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「いつも仕事を押し付けられても笑顔で頑張って、職場の雰囲気をよくしようとしてくれている。山井さんが来てからこの動物病院の雰囲気が一気に明るくなった」
 怒られるのかと思ったら褒められているようだ。
 整った顔をしているから真剣な顔をするだけで迫力があるように見えてしまうのかもしれない。
「そんな姿をずっと見ていて、ものすごく魅力を感じていて、興味がある。プライベートでも話をしてみたいのだが」
 休憩時間だけど、まさか職場でこんなにストレートに気持ちを伝えてくれるとは思わなかった。
 本当にありがたくて光栄なことだけど、素直に受け止めることはできない。
 私にとって彼は雲の上のような存在なのだ。
「その言葉……ありがたく、胸の中にしまわせていただきます」
 どんな言葉を言えばいいのかわからず変なこと言ってしまったかもしれない。すると彼はまた楽しそうに笑い出す。
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