人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「俺はフラれてしまったということか?」
「違います!」
 慌てて否定をした。こんなに素敵な人からの誘いを断るなんてそれはそれで上から目線のような気がして困惑する。
「宍戸ドクターのような方とお食事なんて……。きっと宍戸ドクターは私と食事をしても楽しくないと思います」
「そんなことは俺が決めることだ」
 ピシャっと言われて妙に納得してしまった。
「とりあえず、店を決めて連絡する。連絡先を教えてもらえるか?」
 断ったつもりでいるのに話が違う方向に進んでいる。
「スマホ出して」
「えっと、あの」
 躊躇していると患者さんが入ってきたようだ。
「宍戸ドクター患者さんです」
「今行く」
 返事をした彼は強い眼差しを向けてきた。
「早く」
「は、はい」
 あっという間に連絡先を交換し、彼は患者さんの元へと向かったのだった。
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