人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます

　普段ホテルなんて行かないので、どんな格好すればいいのかわからず、インターネットでいろいろ検索をした。
（お礼の食事と言われたけれど……。お礼ではあってデートではないよね？）
　無難にワンピースが妥当だ。家の中にある一番シンプルでおしゃれな服に着替えをしてメイクをする。
　鏡の前に立ってチェックした。少し地味かなとも思ったけれど、あまりにも気合いを入れたら食事会が楽しみだと思われるのも何となく嫌だった。
　私は時間を見て約束の場所へと向かった。

　到着したホテルはあまりにも立派で入ることに躊躇した。場違いな場所に来てしまったと思ったのだ。
　しかし入館しないわけにはいかない。時間に遅れてしまう。
　深呼吸してから歩みを進め、自動ドアを抜けようとするとホテルのスタッフが笑顔で出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ」
「レストランの利用なんですが……ロビーで待ち合わせておりまして」