人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「時間が許す限りお互いのプライベートなことをいろいろ話ししてみよう」
「……はい」
 彼は優しい笑みを浮かべた。
 私たちは家族構成とか、趣味とか、休みの日はどんなことをしているとか、そんな話を重ねていた。
「そうなんですね。お父様はお医者様でお母様は看護師さんなんですね」
「あぁ。父は俺に人間の医者になってほしかったようだが、学生時代に見たドキュメンタリー番組で動物の命を救う医者が特集されていたんだ。それを見て俺はこの道に進まなければならないって思った。だけどなかなか父親に言い出せなくてさ」
 きっと息子も同じ道を歩んでくれるとお父様は期待していたのだろう。
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