人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「それに、小さい頃からゴールデンレトリバーを飼っていて、彼は言葉を話せないのに俺の心にダイレクトに話しかけてきてさ。そんな元気だった彼も病気になって最後は動物病院に行った。医師が最後の最後まで頑張ってくれた姿を見て、自分も動物を救いたいと強く思うようになった。勇気を出して伝えたら父は渋々了承していたよ」
 宍戸ドクターが獣医師を目指したきっかけをずっと聞きたかったので聞かせてもらえて胸が熱くなった。
「山井さんはどうして動物病院で働こうと思ったの?」
「私は逆に動物が嫌いだったんです。私のことをプードルみたいって小さい頃からかってくる人がいて。だから避けてきたんですけど、悲しい時に救ってくれたのが小鳥だったんです」
「へぇ」
 ゆっくり話を聞いてくれているから、ついつい言葉が口からあふれた。
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