人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
「両親が事故で亡くなってしまって。高校時代はほとんど一人暮らしのようなものでした。叔母が一緒に暮らしてくれていたんですが、キャリアウーマンで全世界中を出張して飛び回るような人だったんです。一人じゃ寂しいからってセキセイインコをペットとして連れてきてくれて。いつも一人で寂しくて寂しくてたまらなかったのに、インコがいつも明るく話しかけてきてくれて……。動物に関わる仕事をしたいと思うようになりました」
「そうだったのか」
「でも家計的に厳しかったので、医者になるとか、看護師になるという道は難しくて、ペットのトリマーにもなりたいと思ったんですが、経済的に厳しかったので、せめて動物病院で働きたいと思ってこの仕事を選びました」
「トリマーか」
 小さな声で言った。
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