人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
 たった一言なのにいろんなことを想像してしまった。
 私は恥ずかしくなって立ち上がり外に出る。すると予報外れの雨が降ってきた。
「雨か……」
「宍戸ドクターはどうやってご自宅にご帰宅ですか?」
「病院に車を停めてある」
「それなのに食事に誘ってくれたのですね」
「一緒にいたいからな」
 ストレートにそんなことを言われると私の頬は熱くなった。きっと鏡で見たら真っ赤に染まっているに違いない。
「折りたたみ傘持ってきてるので使ってください。私は駅までダッシュします」
 傘を渡して走り出そうとしたところ手をぎゅっとつかまれた。そして思いっきり抱きしめられたのだ。
 宍戸ドクターの爽やかな香りが鼻の中を通り抜ける。
 次の瞬間、車がやってきてバシャっと水をかけられてしまった。
「ごめん。濡れちゃうかと思って抱きしめさせてもらった」
「いえ……」
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