人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
　裏道を教えてくれゆっくりと歩いていくと、一気に住宅街に入り静かになった。
　雨の降る音しか聞こえない。
「公園もあってここら辺で暮らすのもいいなって思う」
「そうですね。私も今は緑があまりないところに住んでいるので、公園が近くにあるところに暮らしたいなと思っていたんです」
「やっぱり俺たちは気が合うようだ。俺の告白を断る理由なんてないんじゃないか？」
　こんなふうにアプローチされたら、断りづらくなる。彼の胸に飛び込んでしまいたいと思ってしまった。
　そんなことを考えながら歩いていると、かすかにキャンキャンと鳴き声が聞こえてきた。
「……何か聞こえませんでしたか？」
「え？」
　二人は立ち止まり、耳を澄ます。
　やはりキャンキャンと鳴き声が聞こえてくる。
　その鳴き声の方向に歩いて行くと段ボールがあった。私はしゃがんでダンボールの中を覗き込んだ。
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