人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
 いつまでも並んで歩いていたいけれどタイムリミットも来てしまう。
「そろそろ帰ろうか」
「そうですね……」
 思わず残念そうな声を出してしまうと彼がクスクスと笑っていた。
「もしかして俺と離れたくないと思ってる?」
 自分の気持ちを素直に表現するのが難しくて私が困っていると、彼はまた楽しそうに笑うのだ。
 からかわれているかもしれないと思ったけれど彼の愛情を感じて胸がキュンキュンとしてしまう。
 駐車場まで手をつなぎながらゆっくり歩いて車に乗り込んだ。
 そして、自宅まで送り届けてくれた。
 私と広大さんの家は車だと三十分くらいの距離にあるらしい。遠回りになってしまうのに送ってくれるのは、ありがたい。
 車から降りる時に寂しい気持ちになったけれど、ドアに手をかける。すると彼は私の手をつかんでぎゅっと抱きしめた。
 そして名残惜しそうに何度も何度も唇を重ね合わせてくる。
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