人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
 車の中が甘い空気で充満しているのではないかと勘違いしてしまうほどだった。これ以上ここにいたら私は窒息してしまうかもしれない。
 大人の恋愛過ぎて私はドキドキしてたまらなかったけれど、こんなにも愛おしいと思ってくれることが嬉しくて最高潮の幸福を味わっていた。
「また時間ある時はデートしよう」
「はい。お気をつけてお帰りください」
 車が見えなくなるまで見送って私は自分の部屋に入った。
 玄関の鍵を閉めてもまだ夢が続いているようで変な感じがする。
 明日の朝起きてこれは夢でしたというオチだったらどうしよう。立ち直れないかもしれない。
 でも私の唇に残っている彼の唇の感触はこれは間違いなく現実だ。
 自分の唇にそっと指を当ててキスされた場面を何度も何度も頭の中で繰り返し再生していた。
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