キミと桜を両手に持つ
「ベストチーム賞がかかってるなら俺らマジで頑張りますよ。その代わりこの仕事必ずとって来てください」
「もちろんそのつもり」
藤堂さんが自信たっぷりにそう言うと「おぉ〜」と言いながら彼の周りにいる男の子達が彼の肩をポンポンと叩いた。
ベストチーム賞がもらえるとそのチームは表彰金がもらえる。なのでこの話に皆が浮かれているのはよくわかる。
エンジニアの男の子たちに囲まれて楽しそうにしている藤堂さんを見ながら私も思わずふふっと口元に笑みを浮かべた。彼が帰って来てからうちのチームはとても活気がある。藤堂さんって本当にすごい人だなぁとついつい見入ってしまう。
何気なしに見ているとふと顔を上げた彼と視線がぶつかった。びっくりして思わずその場に固まっていると、彼はふっと優しく微笑んだ。
やばっ…。仕事しないで見てたのバレちゃった……。
慌ててモニターに視線を落とすと作業報告書の作成に取り掛かった。でもどうしてもまたチラリと彼を見てしまう。
最近の私は何だかおかしい。彼と一緒に同居して職場も一緒だからかもしれないけど、朝から晩まで彼の事ばかり考えてしまう。
先程まで彼の周りに集まっていた男の子達はそれぞれ自分のブースに戻り、今は前田さんと熱心に話し込んでいる。相槌を打ちながら真剣な顔で何か書類に書き込んでいて、その整った綺麗な顔に再び見入ってしまう。
藤堂さんって仕事してる時本当にかっこいいよね。こんな人と同居してるなんてバレたら高橋さんや他の女の子達から殺されそう……
「如月さん、ちょっといい?」
「は、はい!」
突然藤堂さんに呼ばれ慌てて立ち上がった。
「今からミーティングしたいんだけど」
「はい」
彼に促されていつものガラス張りのミーティングルームへと入った。