キミと桜を両手に持つ

✿✿✿

 「俺たちさ、このままいくとベストチーム賞狙えるんじゃない?」

 「やっぱあの大手通販のコンペに勝てたのは大きいよな。さすが藤堂さん」

 前田さんやエンジニアの男の子達が楽しそうに話しているのが聞こえてきてふと顔を上げた。

 プロデューサーである藤堂さんと前田さんのデスクの近くには簡単なスタッフミーティングができるようにテーブルと椅子が置いてある。そこに藤堂さんを囲むように皆で集まっている。

 「俺らってさ、いつも浅野さんのところに負けてるじゃん?あーマジで今度こそ勝ちたい」

 エンジニアの男の子がそう悔しそうに言うと藤堂さんは突然カタカタとキーボードを叩いた。皆の注目が彼のノートパソコンの画面に集まる。

 「実は今日営業から新しい話が来たんだ。これなんだけど……」

 彼は画面に何かを表示させながら話した。

 「今回契約更新を機に今までの制作会社じゃなくて新しい会社に任せたいと考えているみたいなんだ。サイトの構築と運用とでかなりの額になる。来月ヒアリングがあってその後コンペになる」

 「え、これ取れたらベストチーム賞確定じゃないですか?」

 「…だろうな」

 佐伯くんがPCの画面を見ながら呟いた。彼がかなり興味津々で画面を見ている雰囲気からして、大手からの大きな案件かなと思う。

 運用が受注出来ると、サイトを完成した後メインテナンスや更新作業でうちの社員をクライアントの会社へ常駐させる事になる。そうなると長期の収入を見込むことができる。もし今回の案件を藤堂さんが再び勝ち取れば佐伯くんの言うようにうちのチームは初めてベストチーム賞をもらえるかもしれない。

 「この案件どう思う?スケジュール的にできそう?」

 藤堂さんはエンジニアの男の子達に尋ねた。すると側にいた佐伯くんが藤堂さんを見てニヤリと笑った。
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