無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!
――頭がずきずきする。
気が付いて初めに感じたことだ。ゆっくりと目を開けると見慣れない白く無機質な天井が視界に入り私は戸惑い瞬きをした。
……これはどういう状況? 私、克樹さんに離婚を告げてそれで……まだぼんやりとした頭でそんなことを考えたとき、突然目の前に端正な顔が表れた。
「羽菜、気付いたか」
「わっ! な、なんで克樹さんが?」
驚きのあまり変な声が出てしまった。心臓がどきどきしている。
まさか目覚めて一番に夫の顔のアップを見るなんて。あたふたしている私の様子を見た克樹さんが僅かに表情を曇らせた。
「君は階段で転んで意識を失ったんだ。覚えているか?」
「も、もちろん」
足がずるりと滑ったときのひやりと全身が冷えるような感覚が蘇る。そしてどんと地面に打ち付けられたんだった。
ということはここは病院だよね。周囲の環境を確認するためにキョロキョロと視線を巡らす。かなり広い部屋にいるようだ。私が寝ている左手には綺麗に磨かれた窓があり、右手には出入り口がある。部屋の中央には革張りのソファと木製のローテーブル。
そしてベッド脇に佇み私を見下ろす克樹さんは、先ほどまでの私服ではなくブラックのスクラブの上に胸元に病院のロゴマークが入った白衣を羽織っている。