無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!
今、“どうかしたのか”と私に聞いた直後に“まだ混乱しているんだな”と自分で返事をしていた。しかも“羽菜をこんな目に合わせなかったのに!”なんて彼が絶対に言わないはずの台詞で。それも口を動かさないまま発声するというテクニックを駆使して。
彼に腹話術の心得があったなんて意外すぎる。
それにしてもいったいどういうこと? こんなおふざけのようなことをする人じゃないはずなのに。
「羽菜?」
私の困惑をよそに、克樹さんは膝を折り心配そうな表情で私の顔を覗き込む。その様子は真剣でとてもふざけているようには見えない。そもそも彼はいい意味でも悪い意味でも遊び心がある人ではないはず。
……もしかして、本人は自分の言動を自覚していないくて、心の声が漏れ出てしまっているの?
いやさすがにそれは考え辛い。彼はそんなうっかりしたタイプではない。となると私の聞き間違いだったのだろうか。
「羽菜、どうしたんだ?」
「あの……私、ちょっと耳の調子がおかしいかもしれない」
「聞こえづらいのか? 検査では問題なかったが……少し診せてくれ」
克樹さんが、私の耳を覗き込む。端正な顔がさらに接近したものだから、心臓がどきどきと忙しない音を立て始めた。診察だと分かっているけれど、結婚して初めての距離感に動揺せずにはいられない。
こんなことならもっと気合を入れて耳掃除をしておくべきだった。汚いとか思われてないよね?
などとくだらないことを心配しているうちに、診察は終了していた。
彼に腹話術の心得があったなんて意外すぎる。
それにしてもいったいどういうこと? こんなおふざけのようなことをする人じゃないはずなのに。
「羽菜?」
私の困惑をよそに、克樹さんは膝を折り心配そうな表情で私の顔を覗き込む。その様子は真剣でとてもふざけているようには見えない。そもそも彼はいい意味でも悪い意味でも遊び心がある人ではないはず。
……もしかして、本人は自分の言動を自覚していないくて、心の声が漏れ出てしまっているの?
いやさすがにそれは考え辛い。彼はそんなうっかりしたタイプではない。となると私の聞き間違いだったのだろうか。
「羽菜、どうしたんだ?」
「あの……私、ちょっと耳の調子がおかしいかもしれない」
「聞こえづらいのか? 検査では問題なかったが……少し診せてくれ」
克樹さんが、私の耳を覗き込む。端正な顔がさらに接近したものだから、心臓がどきどきと忙しない音を立て始めた。診察だと分かっているけれど、結婚して初めての距離感に動揺せずにはいられない。
こんなことならもっと気合を入れて耳掃除をしておくべきだった。汚いとか思われてないよね?
などとくだらないことを心配しているうちに、診察は終了していた。