無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!

『克樹、新しい家族だ。お前の継母になる明(あけ)美(み)と兄の克(まさ)人(と)だ』

 父が後妻とその連れ子を連れて来たのだ。

 驚愕した。離婚して一か月と少ししか経っていないのにもう再婚するなんて、さすがに思っていなかったから。

『じ、じいちゃんはいいって言ったんですか?』

 動揺していたせいか口から出てきたのはそんな子供っぽい言葉だった。
 そのとき父は不満そうに顔をしかめたと思う。後妻と連れ子はまるで汚いものを見るように俺を嫌そうに眺めていた。

『それはお前が気にすることじゃない。新しい母と兄と仲良くするように』

 父は素っ気なくそう言うと、新しく家族になったふたりに家の案内を始めた。

『以前から話に聞いていたけど広い邸宅ね。でも少し使いづらいからリフォームしましょう。克人は高校受験があるから静かな部屋がいいわね。克樹君、場所を代わって貰っていいわよね?』
『え……でも、その部屋は小さい頃から使っていて……』
『ずっと使っていたなら気分転換も必要でしょ』

 継母は驚くくらい強引な人だった。

『構わないわよね?』

 俺の言葉なんて聞こうとせず父にお伺いを立てる。

『ああ好きにしろ』

 父は完全に継母の味方のようで、当時の俺は少なからずショックを受けた。けれど更に大きな衝撃が待っていた。

『お父さん。家庭教師をつけて欲しいんだけど』

 連れ子の克人が慣れ慣れしい口調で父に話しかけたのだ。
 自分の母親の再婚相手という、子供なら距離を感じるはずの相手に全く物おじした様子がない。それどころか以前からの知り合いのように親しみを感じる自然な声かけだった。

『医大の付属高校を受験するんだから必要だろうな。優秀な講師を探しておこう』
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