無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!
祖父が亡くなってからは、体調を崩して苦しんでいてもひとりで耐えるしかなかった。こんなふうに誰かが親身になって寄り添ってくれたのは初めてで、それは想像していた以上に心が安らぐことだった。喜びとなぜか切なくもある上手く言葉に表せない感情が込み上げた。
それでも側に居てくれてよかったと思った。彼女に心から感謝した。
でも俺はその気持ちを、ありがとうと言葉にして伝えなかった。
そんな俺の態度に、羽菜は何も言わなかったが内心で怒りを貯めていたようだ。
『私たち、離婚しましょう』
ある日、突然離婚を告げられた。
そのときの衝撃は自分でも驚く程のものだった。
羽菜がこの結婚生活に満足していないのは分かっていた。ただお互い家の為に結婚をしたのだから離婚に発展するとは思わなかった。
それなのに――。
心臓がどくどくと嫌な音立てる。続いてこみ上げるのは深い後悔。
なぜ、俺はもっと努力しなかったのだろう。気を遣うことができなかったのだろう。彼女に感謝しても心の中で思っているだけで、なぜ言葉にも態度にも出さなかったのだろう。
彼女は俺のことを家族だと言ってくれたのに。苦しかったとき優しく寄り添ってくれたのに。
彼女がいなくなる……そんなことは耐えられなかった。
今更気づいても遅いのは分かっている。身勝手だとも。でもこのまま諦めて別れるなど到底受け入れられなかった。
だから迷わずはっきりと告げた。
『離婚はしない』
『え……』
羽菜は衝撃を受けていた。俺の返事が予想外だったのだろう。
彼女が驚愕し、そして怒りに感情が変化するのが分かる。
当然だ。これまでの俺の態度は酷いものだったのだから。いつだって優しさをくれた彼女を蔑ろにし続けたのだから。
俺もだが羽菜はかなり動揺したようで、その後足を滑らせて階段から落ちてしまった。無理に追いかけた俺が驚かせてしまったからだ。ますます罪悪感が込み上げた。
ますます嫌われてしまったことだろう。
それでも離婚はしたくない。勝手なのは十分承知だが、この先もずっと彼女と家族でいたい。本当の夫婦になりたいと今更ながら思うのだ。
それからの俺たち夫婦は、以前とは正反対の関係になった。
羽菜に歩み寄ろうとする俺と、拒否して避ける羽菜。
素っ気ない態度をされると胸が痛む。だがこんな気持ちを羽菜はずっと感じていたのかもしれないのだから、俺には落ち込む資格はない。
長年培った性格をすぐに変えるのはなかなか難しいが、出来る限り羽菜への感謝と気持ちを言葉と態度で伝えるように努力した。
しかし羽菜の側に居たくても仕事が山のようにある。
脳外科医としてそれなりに注目を浴びるようになった俺のオペを希望する患者が増えており、病院としては――つまり父のとしては可能な限り受け入れる方針だからだ。
俺自身もひとりでも多くの患者を助けたい気持ちがある。
ただ羽菜との時間が取れないのが悩ましところだった。
それでも側に居てくれてよかったと思った。彼女に心から感謝した。
でも俺はその気持ちを、ありがとうと言葉にして伝えなかった。
そんな俺の態度に、羽菜は何も言わなかったが内心で怒りを貯めていたようだ。
『私たち、離婚しましょう』
ある日、突然離婚を告げられた。
そのときの衝撃は自分でも驚く程のものだった。
羽菜がこの結婚生活に満足していないのは分かっていた。ただお互い家の為に結婚をしたのだから離婚に発展するとは思わなかった。
それなのに――。
心臓がどくどくと嫌な音立てる。続いてこみ上げるのは深い後悔。
なぜ、俺はもっと努力しなかったのだろう。気を遣うことができなかったのだろう。彼女に感謝しても心の中で思っているだけで、なぜ言葉にも態度にも出さなかったのだろう。
彼女は俺のことを家族だと言ってくれたのに。苦しかったとき優しく寄り添ってくれたのに。
彼女がいなくなる……そんなことは耐えられなかった。
今更気づいても遅いのは分かっている。身勝手だとも。でもこのまま諦めて別れるなど到底受け入れられなかった。
だから迷わずはっきりと告げた。
『離婚はしない』
『え……』
羽菜は衝撃を受けていた。俺の返事が予想外だったのだろう。
彼女が驚愕し、そして怒りに感情が変化するのが分かる。
当然だ。これまでの俺の態度は酷いものだったのだから。いつだって優しさをくれた彼女を蔑ろにし続けたのだから。
俺もだが羽菜はかなり動揺したようで、その後足を滑らせて階段から落ちてしまった。無理に追いかけた俺が驚かせてしまったからだ。ますます罪悪感が込み上げた。
ますます嫌われてしまったことだろう。
それでも離婚はしたくない。勝手なのは十分承知だが、この先もずっと彼女と家族でいたい。本当の夫婦になりたいと今更ながら思うのだ。
それからの俺たち夫婦は、以前とは正反対の関係になった。
羽菜に歩み寄ろうとする俺と、拒否して避ける羽菜。
素っ気ない態度をされると胸が痛む。だがこんな気持ちを羽菜はずっと感じていたのかもしれないのだから、俺には落ち込む資格はない。
長年培った性格をすぐに変えるのはなかなか難しいが、出来る限り羽菜への感謝と気持ちを言葉と態度で伝えるように努力した。
しかし羽菜の側に居たくても仕事が山のようにある。
脳外科医としてそれなりに注目を浴びるようになった俺のオペを希望する患者が増えており、病院としては――つまり父のとしては可能な限り受け入れる方針だからだ。
俺自身もひとりでも多くの患者を助けたい気持ちがある。
ただ羽菜との時間が取れないのが悩ましところだった。