無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!
義母は後妻で克樹さんとは血が繋がっていないと聞いている。それでも加賀谷家に入ったのはもうずいぶん昔のことだし傍から見ると普通の家族で違和感はなかった。でも表からは見えない問題が実はあるのかもしれない。
気になったけれど、克樹さんはお祖父さまとの思い出をぽつりぽつりと話してくれている。
その表情はとても穏やかで遮ることはできなかった。
約二時間でパーティは終了した。時刻は午後三時過ぎ。
式の後はゆっくりできるようにと、克樹さんの従弟がホテルを手配してくれているので一泊する予定だけれど、この後の具体的なスケジュールは立てていない。
克樹さんと一緒にホテルに戻って過ごすのは気詰まりだし、観光がてら近くを歩いてみようかな。
ホテルに戻ったら別行動でと伝えようとすると、彼が思いがけないことを言いだした。
「羽菜、近くに湖があるそらしい。行ってみないか?」
「えっ?」
まさか克樹さんからどこかに行こうと誘われるだなんて。
「嫌か?」
――俺と一緒に行動したくないのかもしれないな。
落胆する気持ちが伝わってくるような気がして、私の胸がずきりと痛む。
「嫌じゃないけど」
克樹さんに気を遣う必要はない。一年間ずっと彼に歩み寄ろうと努力したけれど、彼はずっと私を顧みなかったのだから。冷たくすることに罪悪感を持つ必要なんてない。
でも、問答無用で突き放すことは私にはできない。今の彼が努力しようとしているのは分かるから。
克樹さんが相手じゃなくても、頑張ってる人を無下にしたくない。
「克樹さんは観光に興味がないと思ってたから意外に感じただけ」
「……そうか。せっかく来たから、すぐにホテルに行くのはもったいないと思ったんだ」
――新婚旅行の代わりにはならないが、少しでも楽しんでくれたらいいんだが。
彼の心の声で気が付いた。
離婚したいと不満を訴えたとき、新婚旅行にも行ってないと不満を言ったのを覚えているんだ。
それで今回私を楽しませようと、考えてくれている?
「……毎日忙しいのに観光スポットを調べてくれたの?」
そう聞くと克樹さんは少し動揺した。
「大して時間はかかってない」
「でもありがとう」
「ああ、行こう」
克樹さんは踵を返して歩き出す。どうやら照れるとそっぽを向いてしまうようだ。感謝の言葉を言われることに慣れていないのかもしれない。
医者という職業柄頻繁にお礼を言われているイメージがあるけれど、個人的にはあまりないのかな。
彼の人間関係の希薄さをますます感じて、なんだか寂しい気持になった。
一旦ホテルに戻り、動きやすい服に着替えをしてから目当ての湖に向かった。
東京はもう汗ばむ日が多いけれど、高原の風は爽やかだ。
散歩中に頬を撫でる風が気持ちいい。
克樹さんが言っていた湖は、実は私も知っていた。
鏡のような湖面に、周囲の山々と瑞々しい緑の樹木が映り自然の美しさをこれでもかというくらい感じられる観光スポットだ。
SNSでも写真が出回っていた。でも加工された写真だと綺麗に見えるけど実際はしょぼかったりするからなあと懐疑的だったけれど実際目にした風景は予想以上に素晴らしかった。
湖畔には小さな白い花が咲いていて、まるでファンタジーの世界に迷い込んだような気分になる。
気になったけれど、克樹さんはお祖父さまとの思い出をぽつりぽつりと話してくれている。
その表情はとても穏やかで遮ることはできなかった。
約二時間でパーティは終了した。時刻は午後三時過ぎ。
式の後はゆっくりできるようにと、克樹さんの従弟がホテルを手配してくれているので一泊する予定だけれど、この後の具体的なスケジュールは立てていない。
克樹さんと一緒にホテルに戻って過ごすのは気詰まりだし、観光がてら近くを歩いてみようかな。
ホテルに戻ったら別行動でと伝えようとすると、彼が思いがけないことを言いだした。
「羽菜、近くに湖があるそらしい。行ってみないか?」
「えっ?」
まさか克樹さんからどこかに行こうと誘われるだなんて。
「嫌か?」
――俺と一緒に行動したくないのかもしれないな。
落胆する気持ちが伝わってくるような気がして、私の胸がずきりと痛む。
「嫌じゃないけど」
克樹さんに気を遣う必要はない。一年間ずっと彼に歩み寄ろうと努力したけれど、彼はずっと私を顧みなかったのだから。冷たくすることに罪悪感を持つ必要なんてない。
でも、問答無用で突き放すことは私にはできない。今の彼が努力しようとしているのは分かるから。
克樹さんが相手じゃなくても、頑張ってる人を無下にしたくない。
「克樹さんは観光に興味がないと思ってたから意外に感じただけ」
「……そうか。せっかく来たから、すぐにホテルに行くのはもったいないと思ったんだ」
――新婚旅行の代わりにはならないが、少しでも楽しんでくれたらいいんだが。
彼の心の声で気が付いた。
離婚したいと不満を訴えたとき、新婚旅行にも行ってないと不満を言ったのを覚えているんだ。
それで今回私を楽しませようと、考えてくれている?
「……毎日忙しいのに観光スポットを調べてくれたの?」
そう聞くと克樹さんは少し動揺した。
「大して時間はかかってない」
「でもありがとう」
「ああ、行こう」
克樹さんは踵を返して歩き出す。どうやら照れるとそっぽを向いてしまうようだ。感謝の言葉を言われることに慣れていないのかもしれない。
医者という職業柄頻繁にお礼を言われているイメージがあるけれど、個人的にはあまりないのかな。
彼の人間関係の希薄さをますます感じて、なんだか寂しい気持になった。
一旦ホテルに戻り、動きやすい服に着替えをしてから目当ての湖に向かった。
東京はもう汗ばむ日が多いけれど、高原の風は爽やかだ。
散歩中に頬を撫でる風が気持ちいい。
克樹さんが言っていた湖は、実は私も知っていた。
鏡のような湖面に、周囲の山々と瑞々しい緑の樹木が映り自然の美しさをこれでもかというくらい感じられる観光スポットだ。
SNSでも写真が出回っていた。でも加工された写真だと綺麗に見えるけど実際はしょぼかったりするからなあと懐疑的だったけれど実際目にした風景は予想以上に素晴らしかった。
湖畔には小さな白い花が咲いていて、まるでファンタジーの世界に迷い込んだような気分になる。