無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!
「水が透明ですごく綺麗……それに思ったよりも小さくて湖っていうより泉のイメージだね。空気も清らかな気がするしパワースポットなのかな?」
「泉は湧き水が溜まったものだ。この湖は山から流れてくる水が溜まってできているが、プランクトンが少ないため透明度が高いのだろう」
特別感がある空気を満喫していたところに、淡々とした声でものすごく現実的な解説が耳に流れて混んできた。
私はじろりと克樹さんを見た。彼は私の反応に困惑した様子をみせる。
「克樹さんって情緒が足りないって言われない?」
私は雰囲気を楽しみたいのにプランクトンって……。
「情緒……どうだろうな。そういったことは言われた記憶はないが」
「そりゃあ直接言う訳ないからね。でも圧倒的に足りないと思う。こういうときは現実的なことは考えないで綺麗な景色を満喫すればいいのに」
「そうなのか?」
「うん……少なくとも私はそういうタイプ」
「分かった」
――羽菜はロマンチックなんだな。今後は気をつけよう。
「べ、べつにロマンチックなんかじゃ……」
「え?」
克樹さんが眉を顰める。いけないまた心の声に返事をしてしまった。最近この状況に慣れて来たこともありつい油断してしまう。
「私のことロマンチストだと思ってるような顔をしてたから」
強引に誤魔化すと克樹さんは疑わずに納得してくれたようだ。気まずそうな笑みを浮かべる。
「以前も思ったが、羽菜にはなんでもお見通しなんだな」
「そうだよ。だから変なことを考えてたら分かるんだからね」
冗談じゃなくて今の私には克樹さんの考えは丸見えなんだから。
警告の意味を込めて言うと、克樹さんは嬉しそうに目を細めた。その表情がとても優しくて綺麗だったものだから、思わずどきっとしてしまう。
だって、どうしてここで嬉しそうにするの?
克樹さんは冗談だと受け止めて笑っているのだと分かっている。でも私は罪悪感を感じていた。
実は克樹さんの本音が分かるのは、離婚を進めるうえで都合がいいと思っていた面がある。でもやっぱり人の心を勝手に覗くのはよくないことだ。
逆の立場だったら絶対に嫌だと思う。誰にだって隠しておきたいデリケートな部分はあるのだから。
克樹さんの本音がもっと醜いものだったらよかったのに。私を都合よく利用しようとする意図が感じられるようなものだったら悩まなかった。逆に離婚への決意がますます強くなったはず。でも彼に悪意はまったくなかった。
人間的ではないと思っていた彼の心は、この奇妙な現象を隠し、都合よく使っている私よりもずっと純粋なのかもしれない。
考えれば考えるほど、私の方が人として駄目な気がしてくる。
かといって今更カミングアウトしたら、ずっと本音を聞いていたのがばれてしまうし……なるべく聞かないように目を合わせないようにすればいいのかな。
「あそこでガラス工芸の体験ができるそうだ」
「え?」
克樹さんの視線の先には、小さな山小屋のような建物があった。
「見てみるか?」
「うん、興味ある!」
悩んでいたことも忘れて、私はうきうきしながら克樹さんと共に小屋に向かう。
昔からこういった工場見学のようなものが大好きなのだ。
「泉は湧き水が溜まったものだ。この湖は山から流れてくる水が溜まってできているが、プランクトンが少ないため透明度が高いのだろう」
特別感がある空気を満喫していたところに、淡々とした声でものすごく現実的な解説が耳に流れて混んできた。
私はじろりと克樹さんを見た。彼は私の反応に困惑した様子をみせる。
「克樹さんって情緒が足りないって言われない?」
私は雰囲気を楽しみたいのにプランクトンって……。
「情緒……どうだろうな。そういったことは言われた記憶はないが」
「そりゃあ直接言う訳ないからね。でも圧倒的に足りないと思う。こういうときは現実的なことは考えないで綺麗な景色を満喫すればいいのに」
「そうなのか?」
「うん……少なくとも私はそういうタイプ」
「分かった」
――羽菜はロマンチックなんだな。今後は気をつけよう。
「べ、べつにロマンチックなんかじゃ……」
「え?」
克樹さんが眉を顰める。いけないまた心の声に返事をしてしまった。最近この状況に慣れて来たこともありつい油断してしまう。
「私のことロマンチストだと思ってるような顔をしてたから」
強引に誤魔化すと克樹さんは疑わずに納得してくれたようだ。気まずそうな笑みを浮かべる。
「以前も思ったが、羽菜にはなんでもお見通しなんだな」
「そうだよ。だから変なことを考えてたら分かるんだからね」
冗談じゃなくて今の私には克樹さんの考えは丸見えなんだから。
警告の意味を込めて言うと、克樹さんは嬉しそうに目を細めた。その表情がとても優しくて綺麗だったものだから、思わずどきっとしてしまう。
だって、どうしてここで嬉しそうにするの?
克樹さんは冗談だと受け止めて笑っているのだと分かっている。でも私は罪悪感を感じていた。
実は克樹さんの本音が分かるのは、離婚を進めるうえで都合がいいと思っていた面がある。でもやっぱり人の心を勝手に覗くのはよくないことだ。
逆の立場だったら絶対に嫌だと思う。誰にだって隠しておきたいデリケートな部分はあるのだから。
克樹さんの本音がもっと醜いものだったらよかったのに。私を都合よく利用しようとする意図が感じられるようなものだったら悩まなかった。逆に離婚への決意がますます強くなったはず。でも彼に悪意はまったくなかった。
人間的ではないと思っていた彼の心は、この奇妙な現象を隠し、都合よく使っている私よりもずっと純粋なのかもしれない。
考えれば考えるほど、私の方が人として駄目な気がしてくる。
かといって今更カミングアウトしたら、ずっと本音を聞いていたのがばれてしまうし……なるべく聞かないように目を合わせないようにすればいいのかな。
「あそこでガラス工芸の体験ができるそうだ」
「え?」
克樹さんの視線の先には、小さな山小屋のような建物があった。
「見てみるか?」
「うん、興味ある!」
悩んでいたことも忘れて、私はうきうきしながら克樹さんと共に小屋に向かう。
昔からこういった工場見学のようなものが大好きなのだ。