無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!
小屋の中は工房と店舗が一体になった造りだった。来るときに見えたロッジ風の部分が店舗のようで工房はその奥にある様子。
まず店舗に入っってみると、アンティークなインテリアと、ここで作られた色とりどりのガラス細工が並ぶ店はとても素敵な空間が広がっている。
予約をしていないから自ら体験するのは無理だろうと思ってたのに、運よく空きがあったようで克樹さんんと共に飛び入りで参加することができた。
私は赤色ベースのグラス、克樹さんはブルーベースのものをスタッフに教えてもらいながらつくる。窯の中に炎が揺らめく工房の中は熱くて汗がだらだらと流れて来たけれど、気にせずに集中して作業をする。
何事にも冷めているイメージの克樹さんは、意外なほど集中し熱心に作業をしていた。しかもさすが脳外科医。手先が器用で初めてとは思えないほどの完成度。私も負けてたまるかと集中して作業する。
なんとか作り上げたときの達成感は最高だった。
細かなところを見ると粗があるけれど、手作りの味わいがある。
「大切に使おう」
「ああ、そうだな」
克樹さんもうれしそうだ。ふたつのグラスはお互い自由に作ったのに雰囲気がどことなく似ていてペアグラスみたい。ふたりで同じ作業をするのは初めての経験だった……なかなか楽しかったな。
その後本物のガラス工芸職人が作った作品を何点か購入してから店を出ると、外の風景はがらりと変化していた。
日没の時間で空はブルーと紫の空とのオレンジのライン。素晴らしい光景に私は深いため息を吐いた。
「綺麗……こういう景色をブルーアワーって言うんだっけ? 湖だけじゃなくてこんなに綺麗な空が見られるなんて、今日は本当にいい日だな」
感嘆の独り言を零してから、克樹さんはどう感じているのか気になってちらりと目を遣ると、彼も魅入られるように空を眺めていた。
声をかけるのは憚られる空気を感じた。私は克樹さんから目を背け、並んで空を見上げる。
他に人影はなくふたりきりだ。でも不思議とこの静かな時間が心地よいと感じる。
私たちは日が沈み辺りがすっかり暗くなるまで、自然の美しさを感じたのだった。
ホテルの部屋に戻り急ぎ身支度をしてから、夕食を予約していたフランス料理のレストランに向かった。
「よかった、なんとか間に合ったね」
湖畔でついのんびりしすぎたため、ぎりぎりになってしまった。
案内された席は窓際だった。ライトアップされた庭の眺めが美しく日常を忘れられる旅の思い出になりそうな雰囲気だ。
席に着くと時間を置かずにフランス料理のコース料理が運ばれてきた。
アミューズからスープ、そしてメインへと続く。どれも素晴らしく美味しくて食慾が進む。
ちらりと克樹さんの様子を窺うと、美しい所作でナイフとフォークを扱っていた。
彼はどんなときも背筋がしっかり伸びていて隙がない。
さっき湖畔で空を眺めたときはすごく無防備な様子に見えたけれど、今はもう鎧を纏ったようにいつもの怜悧な雰囲気の彼に戻っている。
無表情で冷ややかな空気を醸し出していて……ちゃんと料理を味わっているのかな。美味しいと感じている?
まさかここに来てまで、仕事のことを考えていないよね?
まず店舗に入っってみると、アンティークなインテリアと、ここで作られた色とりどりのガラス細工が並ぶ店はとても素敵な空間が広がっている。
予約をしていないから自ら体験するのは無理だろうと思ってたのに、運よく空きがあったようで克樹さんんと共に飛び入りで参加することができた。
私は赤色ベースのグラス、克樹さんはブルーベースのものをスタッフに教えてもらいながらつくる。窯の中に炎が揺らめく工房の中は熱くて汗がだらだらと流れて来たけれど、気にせずに集中して作業をする。
何事にも冷めているイメージの克樹さんは、意外なほど集中し熱心に作業をしていた。しかもさすが脳外科医。手先が器用で初めてとは思えないほどの完成度。私も負けてたまるかと集中して作業する。
なんとか作り上げたときの達成感は最高だった。
細かなところを見ると粗があるけれど、手作りの味わいがある。
「大切に使おう」
「ああ、そうだな」
克樹さんもうれしそうだ。ふたつのグラスはお互い自由に作ったのに雰囲気がどことなく似ていてペアグラスみたい。ふたりで同じ作業をするのは初めての経験だった……なかなか楽しかったな。
その後本物のガラス工芸職人が作った作品を何点か購入してから店を出ると、外の風景はがらりと変化していた。
日没の時間で空はブルーと紫の空とのオレンジのライン。素晴らしい光景に私は深いため息を吐いた。
「綺麗……こういう景色をブルーアワーって言うんだっけ? 湖だけじゃなくてこんなに綺麗な空が見られるなんて、今日は本当にいい日だな」
感嘆の独り言を零してから、克樹さんはどう感じているのか気になってちらりと目を遣ると、彼も魅入られるように空を眺めていた。
声をかけるのは憚られる空気を感じた。私は克樹さんから目を背け、並んで空を見上げる。
他に人影はなくふたりきりだ。でも不思議とこの静かな時間が心地よいと感じる。
私たちは日が沈み辺りがすっかり暗くなるまで、自然の美しさを感じたのだった。
ホテルの部屋に戻り急ぎ身支度をしてから、夕食を予約していたフランス料理のレストランに向かった。
「よかった、なんとか間に合ったね」
湖畔でついのんびりしすぎたため、ぎりぎりになってしまった。
案内された席は窓際だった。ライトアップされた庭の眺めが美しく日常を忘れられる旅の思い出になりそうな雰囲気だ。
席に着くと時間を置かずにフランス料理のコース料理が運ばれてきた。
アミューズからスープ、そしてメインへと続く。どれも素晴らしく美味しくて食慾が進む。
ちらりと克樹さんの様子を窺うと、美しい所作でナイフとフォークを扱っていた。
彼はどんなときも背筋がしっかり伸びていて隙がない。
さっき湖畔で空を眺めたときはすごく無防備な様子に見えたけれど、今はもう鎧を纏ったようにいつもの怜悧な雰囲気の彼に戻っている。
無表情で冷ややかな空気を醸し出していて……ちゃんと料理を味わっているのかな。美味しいと感じている?
まさかここに来てまで、仕事のことを考えていないよね?