無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!
「そんなことはない!」
克樹さんは全力で否定したが、直後決心が揺らいだときのような不安そうな顔をする。
「克樹さんどうし……」
――羽菜の隣で眠って触れずにはいられるか心配だ。
「えっ?!」
触れずにいられるかって……彼の言葉の意味を察して、かあっと一気に体温が上昇する。
克樹さんがそんなことを考えるなんて。
自然なことだろうけど、これまでの彼は私に対して一切そういった感情を向けてこなかった。もしそうだったら心の声で分かるはず。
だから家族として再構築に頑張っているのは伝わって来ていたけれど、女として見られている実感はほとんどなくて……でも今、克樹さんは私に触れたいと思っているの?
心臓がどきどきと音を立てる。
神経が太いから大丈夫と豪語したというのが嘘になるくらい意識しちゃってる。
「羽菜? どうかしたのか?」
私の異変に気付いたのか克樹さんが心配そうな声を出す。このままでは私の動揺に気づかれてしまう。
「なんでもない。先にお風呂に入ってもいい?」
とにかく克樹さんと距離を置いて、冷静にならなくては。
「もちろんだ」
「ありがとう」
私は克樹さんから逃げるように、バスルームに飛び込んだのだった。
やたらと意識しすぎても仕方ない。無理やり襲われるなんてことはないだろうし、自然に振る舞えば大丈夫。
そう気持ちを切り替えてバスルームから出て、克樹さんと交代した。
部屋の冷蔵庫にあったミネラルウォーターを飲み、酔いも醒ましておく。
大丈夫。もう完全に冷静だ。
ところがシャワーを浴び終えた克樹さんを目にした途端に、心臓がどくどくと騒ぎはじめた。
だって均整の取れた体をバスローブで包み、少し湿った髪をかき上げる姿が直視できないほどに男の色気に溢れているのだもの。
恋愛経験が限りなくゼロに近く耐性がない私には、目の毒すぎる。
ふらふらと倒れそうになる私を、克樹さんが慌てて抱き留める。
そんなことをされたらますます、顔が火照ってしまう。
「大丈夫か?」
声まで色っぽい気がしてくる。
「だ、大丈夫。でも疲れたからもう寝ようかな」
「分かった」
克樹さんは私をエスコートするようにベッドに促す。
「ありがとう」
「ああ」
克樹さんはにこりと笑う。
ともて綺麗笑みだった。私と彼の関係が変化してからそれほど時間が経っていないのに、ずいぶん変わったと思う。
ベッドに入ってからもそわそわと気持ちが落ち着かず、なかなか眠気がやってこない。
克樹さんが来たのは、それから一時間ほどしてからだった。
彼は私を起こさないように気を遣っているのか遠慮がちにベッドの端の方に横たわる。
あれじゃあ窮屈じゃないかな。様子を見ようと動いたら克樹さんがこちらを見た。
「すまない、起こしてしまったか?」
「ううん。なかなか寝付けなかっただけ」
「そうなのか……俺が居たらますます寝付けなくなるな」
――やはり俺は向こうの部屋で寝た方がよさそうだ。
「そんなことないよ」
「俺に気を遣わなくて大丈夫だ」
――羽菜は優しいから無理をしているんじゃないか?
克樹さんは優しい。私が困らないようにと一生懸命気を遣ってくれている。でも残念ながら私の気持ちを分かってはいなくてもどかしい。
克樹さんは全力で否定したが、直後決心が揺らいだときのような不安そうな顔をする。
「克樹さんどうし……」
――羽菜の隣で眠って触れずにはいられるか心配だ。
「えっ?!」
触れずにいられるかって……彼の言葉の意味を察して、かあっと一気に体温が上昇する。
克樹さんがそんなことを考えるなんて。
自然なことだろうけど、これまでの彼は私に対して一切そういった感情を向けてこなかった。もしそうだったら心の声で分かるはず。
だから家族として再構築に頑張っているのは伝わって来ていたけれど、女として見られている実感はほとんどなくて……でも今、克樹さんは私に触れたいと思っているの?
心臓がどきどきと音を立てる。
神経が太いから大丈夫と豪語したというのが嘘になるくらい意識しちゃってる。
「羽菜? どうかしたのか?」
私の異変に気付いたのか克樹さんが心配そうな声を出す。このままでは私の動揺に気づかれてしまう。
「なんでもない。先にお風呂に入ってもいい?」
とにかく克樹さんと距離を置いて、冷静にならなくては。
「もちろんだ」
「ありがとう」
私は克樹さんから逃げるように、バスルームに飛び込んだのだった。
やたらと意識しすぎても仕方ない。無理やり襲われるなんてことはないだろうし、自然に振る舞えば大丈夫。
そう気持ちを切り替えてバスルームから出て、克樹さんと交代した。
部屋の冷蔵庫にあったミネラルウォーターを飲み、酔いも醒ましておく。
大丈夫。もう完全に冷静だ。
ところがシャワーを浴び終えた克樹さんを目にした途端に、心臓がどくどくと騒ぎはじめた。
だって均整の取れた体をバスローブで包み、少し湿った髪をかき上げる姿が直視できないほどに男の色気に溢れているのだもの。
恋愛経験が限りなくゼロに近く耐性がない私には、目の毒すぎる。
ふらふらと倒れそうになる私を、克樹さんが慌てて抱き留める。
そんなことをされたらますます、顔が火照ってしまう。
「大丈夫か?」
声まで色っぽい気がしてくる。
「だ、大丈夫。でも疲れたからもう寝ようかな」
「分かった」
克樹さんは私をエスコートするようにベッドに促す。
「ありがとう」
「ああ」
克樹さんはにこりと笑う。
ともて綺麗笑みだった。私と彼の関係が変化してからそれほど時間が経っていないのに、ずいぶん変わったと思う。
ベッドに入ってからもそわそわと気持ちが落ち着かず、なかなか眠気がやってこない。
克樹さんが来たのは、それから一時間ほどしてからだった。
彼は私を起こさないように気を遣っているのか遠慮がちにベッドの端の方に横たわる。
あれじゃあ窮屈じゃないかな。様子を見ようと動いたら克樹さんがこちらを見た。
「すまない、起こしてしまったか?」
「ううん。なかなか寝付けなかっただけ」
「そうなのか……俺が居たらますます寝付けなくなるな」
――やはり俺は向こうの部屋で寝た方がよさそうだ。
「そんなことないよ」
「俺に気を遣わなくて大丈夫だ」
――羽菜は優しいから無理をしているんじゃないか?
克樹さんは優しい。私が困らないようにと一生懸命気を遣ってくれている。でも残念ながら私の気持ちを分かってはいなくてもどかしい。