無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!

 ――羽菜、愛してる。一生離さない。
 ――こうして抱きしめていると、愛しさがこみ上げる。俺にこんな感情があったなんて。

 今思い出すだけで顔がほてってしまいそうな、熱烈な好意を山のように聞いたのだから。
 昨夜は私も普通の状態じゃなかったから、ただ幸せな気持ちで彼の気持ちを受け止めていたけれど今思い出すと……ああ、恥ずかしくてたまらない!
 朝目覚めたときも、とにかく優しくて甘い雰囲気だったし……。

「な、なんで急に赤くなってるの?」

 杏子が不審そうに言う。

「ごめん、ちょっと思い出し赤面」
「なにそれ」
「……とにかく時間が経ち過ぎて言えなくなったってこと」
「気持ちは分からないでもないけど、いずれ言うなら早く済ませた方がいいんじゃないの」

 何事も先延ばしにするのが嫌いな杏子らしい意見。そしてこの場合間違いなく正しい。

「それに怖くないの? 明らかに脳に問題がありそうなのに。急変して倒れたらどうするの?」
「多少不安はあるけど、いざというときは克樹さんがいるしなんとかなるでしょ」
「楽観的というか、肝が据わっているというか」

 杏子は半ば呆れた様子だ。

「かなり勇気がいるけどタイミングを見て打ち明けるつもり。結果は杏子に報告するよ」
 克樹さん、ショックを受けるだろうな……しっかり謝って蟠りが残らないようにしないと。この先も一緒に生きていくと決めたのだから。
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