無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!
 また即答された。どうやら私の訴えは全然響いていない。これは言葉を選んでいてはだめかもしれない。

「そうは思えないけど。だって克樹さんは私のことが嫌いでしょう? これまでの態度で分かるよ」

 はっきり言い切ると、彼の顔色が一気に悪くなった。

「結婚式の日の夜に急に出て行ったよね。克樹さんは医者だから急患に対応しなくちゃいけないのは分かってる。でもそれなら事情を説明してほしかった。何の言葉もかけられず置いていかれた私がどんなに寂しく惨めな気持ちになったかなんて分からないでしょう?」

 これまで募った恨みを吐き出すように一気にまくし立てる。うるさいし面倒だと思われるかもしれないが最後だから本音を言わせてもらうつもり。

「新婚旅行だって当たり前のように行かなかったし、そもそもふたりでどこかに行ったことがないよね。これでも一緒にいる意味があると思うの?」
「……そんなつもりはなかった」
「何が?」
「全てだ。配慮が足りず申し訳なかった」 

 私は思わず目を見開いた。

 克樹さんが反論もせず、全面降伏するように頭を下げるなんて……しかも今までに見たことがないような動揺した表情をしている。

 私の言い方があまりにきつかったのだろうか。離婚すると決めたからと言ってずけずけ言いすぎてしまった?

 私の訴えは一方的で傲慢だったのかな。

 迷いと罪悪感がこみ上げる。

 でもここでやめる訳にはいかない。私は気を取り直して、少し声を落として話を続ける。
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