無口な脳外科医の旦那様、心の声(なぜか激甘)が漏れてます!
克人さんは『オペの後に記者会見なんて大変だろう? 僕に任せてほしい』といかにも克樹さんを心配するような発言をしていたけれど、それだけとは思えなかった。
中村さんが言う通り、自分の手柄だと世間にイメージを受け付けたいのだと思う。
克樹さんが未来の院長候補のひとりと言われているように、克人さんも院長候補だ。
克人さんにとってはライバルに一歩先に立ったことになる。それが本当は誰の手柄なのかは関係ない。理事会や世間に対する印象を上げるのは重要なことなのだろう。
私はそんな克人さんのやり方に反感を持ったけれど、克樹さんは何も言わなかった。
というよりも政治的な駆け引きよりも、今日のオペを成功させることに集中しているように見えた。
だから私も黙って克樹さんを支えることに集中していたのだけれど……やっぱり納得できない気持ちがある。
夫の努力を他の人たちにも認めてほしい。
彼はこんなに素晴らしいのだと知ってほしい。今のように義兄に攻撃的な気難しい人という印象を変えたいのだ。
私の自己満足なのかもしれないけれど。
記者会見の準備をしているとあっという間に時間が経ち午後六時が過ぎた。
会見の場として準備した新館の大会議室には、多くの記者が集まって来ている。
私たちも移動し会場の最終確認と記者会見の流れの再確認をする。
そのときオペが無事成功したと知らせが入った。
「……よかった!」
私は歓喜の声を上げそうになる口を咄嗟に抑えた。
よかった、本当によかった……。
克樹さんも今頃きっとほっとしているだろう。
記者の人たちの目があるから、おおっぴらに喜べないけれど、ぐっとこぶしを握り締めてガッツポーズをする。
早くお祝いを言いに行きたいけれど、今は私の仕事をしなくちゃ。
上機嫌の克人さんが会議室にやって来た。
もう結果を知っていて、これから喜びの発表をする期待に満ち溢れているというった様子だ。
克樹さんが頑張ったのに。
不満に思いながら記者会見を始める準備をする。
ひな壇に準備した席の中央に克人さんが、その左右に院長と外科部長が座る。
会場がシンとしてフラッシュがたかれる。
克人さんが口を開いた。
「お集まりいただきありがとうございます。これより紫前康孝氏の脳腫瘍摘出手術について報告いたします。まずは……」
そのとき会場の入り口が音を立てて開いた。
予定外の出来事に克人さんが目を見開く。私たち企画課の面々も戸惑い扉の方に目を向けたが、私は次の瞬間喜びに顔を輝かせた。
そこには脳神経外科医の証であるブラックのスクラブに白衣を纏った克樹さんの姿があったのだ。
「克樹さん!」
思わず声が漏れてしまった。
「え? 克樹先生?」
隣に居た中村さんも動揺の声を上げる。
克樹さんは皆が注目する中、堂々とした後取でひな壇に向かって行く。
克人さんがガタンと椅子を鳴らして立ち上がった。
「な、なぜ克樹が?」
マイクが克人さんの声を拾い、皆が彼の動揺の声を耳にした。
克樹さんは克人さんをちらりと見ただけで応えない。
院長が克樹さんに譲るように席を立ち身を引いた。
克樹さんは院長に頭を下げてからマイクを手に取った。
中村さんが言う通り、自分の手柄だと世間にイメージを受け付けたいのだと思う。
克樹さんが未来の院長候補のひとりと言われているように、克人さんも院長候補だ。
克人さんにとってはライバルに一歩先に立ったことになる。それが本当は誰の手柄なのかは関係ない。理事会や世間に対する印象を上げるのは重要なことなのだろう。
私はそんな克人さんのやり方に反感を持ったけれど、克樹さんは何も言わなかった。
というよりも政治的な駆け引きよりも、今日のオペを成功させることに集中しているように見えた。
だから私も黙って克樹さんを支えることに集中していたのだけれど……やっぱり納得できない気持ちがある。
夫の努力を他の人たちにも認めてほしい。
彼はこんなに素晴らしいのだと知ってほしい。今のように義兄に攻撃的な気難しい人という印象を変えたいのだ。
私の自己満足なのかもしれないけれど。
記者会見の準備をしているとあっという間に時間が経ち午後六時が過ぎた。
会見の場として準備した新館の大会議室には、多くの記者が集まって来ている。
私たちも移動し会場の最終確認と記者会見の流れの再確認をする。
そのときオペが無事成功したと知らせが入った。
「……よかった!」
私は歓喜の声を上げそうになる口を咄嗟に抑えた。
よかった、本当によかった……。
克樹さんも今頃きっとほっとしているだろう。
記者の人たちの目があるから、おおっぴらに喜べないけれど、ぐっとこぶしを握り締めてガッツポーズをする。
早くお祝いを言いに行きたいけれど、今は私の仕事をしなくちゃ。
上機嫌の克人さんが会議室にやって来た。
もう結果を知っていて、これから喜びの発表をする期待に満ち溢れているというった様子だ。
克樹さんが頑張ったのに。
不満に思いながら記者会見を始める準備をする。
ひな壇に準備した席の中央に克人さんが、その左右に院長と外科部長が座る。
会場がシンとしてフラッシュがたかれる。
克人さんが口を開いた。
「お集まりいただきありがとうございます。これより紫前康孝氏の脳腫瘍摘出手術について報告いたします。まずは……」
そのとき会場の入り口が音を立てて開いた。
予定外の出来事に克人さんが目を見開く。私たち企画課の面々も戸惑い扉の方に目を向けたが、私は次の瞬間喜びに顔を輝かせた。
そこには脳神経外科医の証であるブラックのスクラブに白衣を纏った克樹さんの姿があったのだ。
「克樹さん!」
思わず声が漏れてしまった。
「え? 克樹先生?」
隣に居た中村さんも動揺の声を上げる。
克樹さんは皆が注目する中、堂々とした後取でひな壇に向かって行く。
克人さんがガタンと椅子を鳴らして立ち上がった。
「な、なぜ克樹が?」
マイクが克人さんの声を拾い、皆が彼の動揺の声を耳にした。
克樹さんは克人さんをちらりと見ただけで応えない。
院長が克樹さんに譲るように席を立ち身を引いた。
克樹さんは院長に頭を下げてからマイクを手に取った。