図書館の逢瀬


 自動ドアがシュッと静かに開く。


 足を1歩踏み入れると、少しひんやりとした風と古い紙の匂いが私を温かく迎えてくれる。


 上がった息を整えつつ、カバンからタオルを取り出す。


 小雨だったけど、走るのが遅いせいか、思ったより上着の色やスカートの色は変わってしまっていた。


 上着はとりあえず脱いで、スカートをタオルで軽く拭い、髪を丁寧に拭いていく。


 雫を拭き取り、改めて館内を見る。


 中は狭すぎず広すぎず、ちょうどいい空間だった。


 近くの椅子では、私と同い年かちょっと下の学生が参考書とにらめっこをしていたり、お年寄りがのんびり読書をしている。


 幼児の読み聞かせコーナーなんかもあり、小さな子供も気軽に本を楽しむことが出来る。


 小さい子からお年寄りまで気軽に立ち寄れる図書館のようだ。


 館内はとても静かだけれど、時折ページをめくる音や雨が窓ガラスに当たる音がなんだか心地よい。


 私はウキウキとした心を抑えつつ、雨が止むまでの間、館内を見て回ることにした。


< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop