成瀬課長はヒミツにしたい【改稿版】
「これは?」
真理子は小さく首を傾げる。
前に来たときは、こんなチケットはなかったはずだ。
「今ね、時間指定で特別に貸し切りができるの。これは俺と乃菜からのプレゼント。二人で楽しんできてよ」
真理子は目を丸くすると、成瀬の顔を振り返る。
成瀬は最初から知っていたのだろうか。
少し照れたようにほほ笑むと、静かにうなずいた。
「まりこちゃん、あたまだして!」
乃菜の声が聞こえ顔を向けると、乃菜の手のひらには、ティアラの電飾玩具が光っていた。
「これは……?」
真理子はティアラを覗き込む。
高級感のあるシルバーに塗られたティアラは、ゆったりとしたスピードで色とりどりのライトが点滅を繰り返している。
「今考えてる新商品の試作品だよ。乃菜に話したら、一番に真理子ちゃんに付けたいって。ほら、乃菜……」
社長に促され、乃菜はそろそろと手を伸ばすと、真理子の頭にティアラをつける。
頭の上でキラキラと光るライトが、目を輝かせる乃菜の顔を照らした。
その色とりどりのライトの点滅を見つめながら、真理子の中でぐっと熱いものがこみ上げてくる。
やはり社長は今も、電飾玩具の事業を大切にしていたくれたのだ。
「乃菜ちゃん。ありがとう……」
真理子は、乃菜の小さな肩を包みこむように、ギュッと抱きしめた。
すると乃菜は、紙袋からもう一つ電飾玩具を取り出し、そっと背中に隠す。
「えへへ」と肩をすくめるように笑った乃菜は、おもむろに成瀬の前に立った。
「こっちは、とうたんの!」
サッと目の前に差し出されたものを見て、真理子は成瀬と一緒に目を丸くする。
「え!?」
成瀬のぎょっとした声が響き、乃菜の手のひらをもう一度覗き込んだ。
そこに握られていたのは、王冠の電飾玩具だった。
それは明らかに以前のものとは違い、ティアラと同じくシルバーに塗られた高級感のある王冠は、ライトも新しくなっている。
「実はね、ティアラと合わせて王冠の方も、バージョンアップを考えてるんだ」
「そんな話……聞いてないぞ」
成瀬が再び驚いた声を出す。
「うん、ごめん。二人を驚かせたくってさ。社内で内緒にしてた……」
肩をすくめる社長に、真理子は成瀬と顔を見合わせると、あははと笑い出した。
なんて素敵なプレゼントだろう。
みんなの潤んだ瞳に映るライトは、キラキラといつまでも優しい光を放っていた。
真理子は小さく首を傾げる。
前に来たときは、こんなチケットはなかったはずだ。
「今ね、時間指定で特別に貸し切りができるの。これは俺と乃菜からのプレゼント。二人で楽しんできてよ」
真理子は目を丸くすると、成瀬の顔を振り返る。
成瀬は最初から知っていたのだろうか。
少し照れたようにほほ笑むと、静かにうなずいた。
「まりこちゃん、あたまだして!」
乃菜の声が聞こえ顔を向けると、乃菜の手のひらには、ティアラの電飾玩具が光っていた。
「これは……?」
真理子はティアラを覗き込む。
高級感のあるシルバーに塗られたティアラは、ゆったりとしたスピードで色とりどりのライトが点滅を繰り返している。
「今考えてる新商品の試作品だよ。乃菜に話したら、一番に真理子ちゃんに付けたいって。ほら、乃菜……」
社長に促され、乃菜はそろそろと手を伸ばすと、真理子の頭にティアラをつける。
頭の上でキラキラと光るライトが、目を輝かせる乃菜の顔を照らした。
その色とりどりのライトの点滅を見つめながら、真理子の中でぐっと熱いものがこみ上げてくる。
やはり社長は今も、電飾玩具の事業を大切にしていたくれたのだ。
「乃菜ちゃん。ありがとう……」
真理子は、乃菜の小さな肩を包みこむように、ギュッと抱きしめた。
すると乃菜は、紙袋からもう一つ電飾玩具を取り出し、そっと背中に隠す。
「えへへ」と肩をすくめるように笑った乃菜は、おもむろに成瀬の前に立った。
「こっちは、とうたんの!」
サッと目の前に差し出されたものを見て、真理子は成瀬と一緒に目を丸くする。
「え!?」
成瀬のぎょっとした声が響き、乃菜の手のひらをもう一度覗き込んだ。
そこに握られていたのは、王冠の電飾玩具だった。
それは明らかに以前のものとは違い、ティアラと同じくシルバーに塗られた高級感のある王冠は、ライトも新しくなっている。
「実はね、ティアラと合わせて王冠の方も、バージョンアップを考えてるんだ」
「そんな話……聞いてないぞ」
成瀬が再び驚いた声を出す。
「うん、ごめん。二人を驚かせたくってさ。社内で内緒にしてた……」
肩をすくめる社長に、真理子は成瀬と顔を見合わせると、あははと笑い出した。
なんて素敵なプレゼントだろう。
みんなの潤んだ瞳に映るライトは、キラキラといつまでも優しい光を放っていた。