無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?
「う、ううん……! 私も、かけるの遅くなっちゃってごめんね。何だか、すごく緊張しちゃって」
『……俺もだ。村崎からいつでもかかってきて大丈夫なように、ずっとスマホの前で待っていた』
「えっ……何時間、も……?」
驚いて聞くと、何事もなかったかのように「あぁ」と返事をされた。
「ご、ごめんね……! そんなに緑谷くんの時間を奪っちゃうなんて……!」
『元はと言えば、俺があの場で答えを聞けない情けない精神が悪い。今ならーー少し頭を冷やす時間もできた。だから、どんな結果になろうとも受け止められる。村崎、答えを教えてくれないか』
「うん。大丈夫、だよ? 私、門限が夜の七時までだから、それまでに帰れるのなら」
何時でも、と言う前にガタガタガタッと大きな物音が聞こえ「緑谷くん!? だ、大丈夫……?」と、話を遮ってしまった。
『……悪い。断られると思っていたから、驚いてスマホを落としてしまった』
ーー動揺した、のかな?
無口で、冷静なイメージが強かったけれど、心が読めるようになってから彼の新たな一面を知れて新鮮な気持ちになった。
「ふふ、断ったりしないよ。電話しなくても、もう答えは決まっていたからね?」
彼は、勘違いしていたみたい。
その後、私達は一週間後の予定を話した。