無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?

貸切デート


 ♡♡♡

 一週間後。緑谷くんが手配してくれた車が、午後一時ぴったりに目的地に到着した。

「わ……大きい」

 車から降りて見渡すほど大きな建物に圧倒されていると、自動ドアが開いた。

「村崎。よく来てくれた」

 中から緑谷くんが出てきた。

「こちらこそ。迎えに来てもらってありがとう」

「当然のことだ。帰りも送り届ける。外は暑いし、中へ入ってくれ」

 そう言うと、建物の中へエスコートしてくれた。中に入ると、清潔感がある白を基調とした造り。

 でもーーここは何? キョロキョロと辺りを見渡した。

「ここは、スポーツ選手専用の療養施設だ」

「そうなの? 緑谷くんの家って、療養施設の経営もしてるの?」

「まだ、営業はしてない。医療に関することは、村崎の家の力が必要になるそうだ」

「そう、なんだ」

 デートだと思って来たけど……違うみたい。私達、親の利益のために結婚するかもしれないんだもん。この施設を見せること、親から言われたのかな。私が良い印象を持ったら、話がスムーズに進みそうだもんね。

「ーー翡翠坊ちゃん」

「っ!?」

 落ち込んだ気持ちでいたら、背後から女性の声が聞こえてバッと振り返った。
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