無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?
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二時間後。
緑谷くんが手配してくれた車でお兄ちゃんが勤めている病院へやって来た。どうやら私は、熱が出ていたよう。頭が痛かったのも発熱によるものだったけど、点滴をしてもらって数時間で熱は下がった。しかし、今日一日は安静にすべきと言われ、病院のベッドを借りて横になっていた。
退屈だなぁと思っていると、廊下からドタドタとものすごい足音が聞こえた。
「紫ちゃぁあああああんっ!?」
ガラッとドアが開くのと同時に、私を呼ぶ大きな声。ぜぇぜぇと肩で息をしている。
私の十二歳上の兄ーー紫苑。この病院の勤務医。
「お、お兄ちゃん……? どうして、ここに……?」
「紫ちゃんが倒れたって聞いてね。よかった。今日は、休みだからすぐに駆けつけられたよ」
「お休みの日なのに、ごめんね……」
「紫ちゃんは気にしなくて良いよ。少し休んで、動けそうになったら帰ろうか? それとも、今日一日入院する?」
ニコニコと優しい笑顔で聞いてくれるお兄ちゃん。入院するほどではないと思い、首を横に振った。
兄は、昔から私の面倒を見てくれる頼れる存在。甘えっぱなしで申し訳ないと優しくされるたびに思っちゃう。