悪女だってヒロインになりたいんです。
「…悪女だったのは、私。ヒロインでもないくせに、私が幸せになれる未来なんて初めから存在しなかった」


最初からわかっていた。この世界の本当のヒロインは茉莉花だって。


「茉莉花ちゃんはヒロイン。でも、美亜ちゃんだって誰かにとってはヒロインであるんじゃないかな」

「…え?」


柊弥先輩がふっと優しく微笑んだ。

王子様と言われているだけあって、笑顔の破壊力が不覚にも私をどきりとさせる。


「誰かの物語では悪女であっても、少なくとも俺にとっては美亜ちゃんはヒロインだよ」

「な、何それ…っ。適当なこと言わないでください!」

「はは、やっと素見せてくれた感じがして今の美亜ちゃんの方が俺は好きだな」

「勝手に言っててください!」


ふいっと柊弥先輩に背を向けてスタスタと歩く。


「待ってよー」


私はまだ知らない。

この人がこれからもしつこいくらい私の物語に登場してくる本当のヒーローだということを…。
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