悪女だってヒロインになりたいんです。
今度こそ背を向けて立ち去る。


この世界に好きな人間は一人もいないけど、この男の子のことは大嫌いだ。

そう思った。



…どうしてこうなったんだ。

隣の席から私に向かって鋭い視線を向けてくる男の子に、気づかないフリをしながら前だけを向く。


名前順に座っていたはずなのに、仲を深めるきっかけになればと担任が謎の気を利かせてきたせいで席替えをすることになり、そして運悪く同じクラスになったこの男の子と運悪く隣の席になってしまったのだ。

今日は悪いことばかり起きている気がする。

いいことと言えば美亜とクラスが離れたことくらいだけど、きっと離れたクラスでも私の悪評を好きなだけ流すだろうしあまり意味はない。


「それじゃあさっきもみんなの前でしたと思うけど、改めて隣の人と自己紹介をし合ってお互いの深いところまで知ってみよーう!」


担任の掛け声でみんながそれぞれ自己紹介をし合っている中、私たちの間には地獄の空気が流れていた。

お互い何も発さずにただ睨み合っているだけ。

まあ仲良くする気もないし、このまま時間が終わるまで待って…。


「おーい、そこの二人。ちゃんと会話してー?緊張するのもわかるけどさー」
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