悪女だってヒロインになりたいんです。
「和佳、すごい!バレーすごく上手」

「まあ一応中学の時はバレー部だったからさ」

「え、そうなの?あれ、でも今は帰宅部だよね?」

「そこまでうまかったわけじゃないし、高校のガチな雰囲気とか無理でやってないんだよね」


茉莉花ちゃんに笑顔でなんでもないように答えている和佳ちゃんから目が離せなかった。

きっと誰もあの笑顔の裏で和佳ちゃんが苦しんでいることを知らない。


「おまえって、わかりやすいよな」

「…え?なんのこと?」

「最初は女子全員が好きなただの変態バカだと思ってたけど、おまえはいつも一人の女子しか見てねぇよなってこと」

「は?なんだよそれ。俺は純情だっていうのに」


ただ、中学の時からある女の子の後ろ姿がずっと忘れられないってだけ。

誰もいない体育館で、涙を流しながらひたすらスパイク練習をしている眩しい背中を。



「あれ、和佳ちゃん?まだ残ってたの?」


この前のテストで赤点を取ってしまった俺は補習で居残りをさせられていて、教室に戻る頃には最終下刻時間ギリギリだった。

にも関わらず、窓側の席でぼーと外を眺めている見知った後ろ姿に不思議に思いながらも声をかける。
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