眠り王子と夢中の恋。
「そう、なるほどね……やっぱり、如月くんだよね」

──え……?

全部話終わった後、どこか遠い目をしてぽつりと呟いた小春の一言を聞き逃さなかった。

「小春、如月くんって」

「あ、いや今のはなんでも……」

「小春!」

私は身を乗り出して、俯く小春に訴えた。

心臓が痛いほど脈打っている。

如月って、まさか。

「……美夜、ほんとに覚えてないの?『如月玲音』」

「……っ、え?」

そんな、なんで?

どうして記憶がないんだろう──。

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