眠り王子と夢中の恋。
ムチュウノ恋
「はっ……はあっ……」

足を踏み出す。

道路を横切り、並ぶ建物の下を走り抜け、だんだん増えていく人々の目も一切気にせず駆けた。

もっとはやく1秒でもはやく、玲音に会いたい。

気分はメロス。

大事な人のためなら、こんなに速く走れるんだ。

それこそ、太陽の100倍もの速さで。

何やってるんだろうこの人、と思わず空いた口が塞がらなかったメロスの気持ちがやっと分かった。

走れ、ミヤ。

レオンを解放するために。

こんなに速く走ったのはいつぶりだろうかという思いで足を運んだ。

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