眠り王子と夢中の恋。
ねえ、玲音。知ってた?
『夢中』って、『夢の中』って書くんだよ。

私は、『夢の中』で。
『夢中』で、恋をした。
これってただの偶然なんかじゃないと思わない?

ねえ、玲音。覚えてる?
薔薇の咲き乱れる庭園でティータイムをした時、話した事。

『眠り姫に口づけをしたら、本当に目が覚めるのか』

あの時突然玲音が言って、私もよく分からずに答えてしまったけど。

きっと口づけで目は覚めるんだよ。
なんでだろう……本能が叫んでいるの。

それくらい愛の力って強い。そういうものじゃない?

互いに強い思いで結ばれていた。
その力は、時に何よりも最強になるんだよ。

どんなに長い眠りでも、愛する人の口づけなら。
永遠と言われた眠りでも、恋焦がれた人の想いなら。

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