眠り王子と夢中の恋。
「玲音っ……玲音!」

待たせてごめんね。
私のせいで、眠らせてしまってごめんね。

いつも近くにいたのに、
愛した人だって気づかなくてごめんね。

あの事故の時、玲音は私を助けてくれたから。
身を挺して、救ってくれたから。

今度は絶対、私が助ける。

『どんな漫画みたいなことでも、おとぎ話のようなことでも、起こるんだよ。いや、起こせるんだよ』

どこからか、兄の声が聞こえる。
 
そう、どんなおとぎ話のようなありえないような事だって、起こすことができると知ったから。

足が痛い。肺が痛い。

でもここで止めてしまったら、もう二度と目を覚さないような気がして怖い。

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