眠り王子と夢中の恋。
願いが、祈りが届いたのか。

『総合病院』の看板が見えてきて、私はさらにスピードを上げた。

転がるように中に駆け込み、注意する看護師さんの声も気にせず廊下を走る。

ごめんなさい、後でしっかりと謝りますから!

今は……今は。
一刻でも早く──

『如月 玲音様』

このプレートが見えた時、私は思わず足がもつれて転びそうになった。

この中に……この中に、玲音がいるんだ。

ドアの前に立つと、途端に得体の知れない恐怖が襲いかかる。

もしこの先も目覚めなかったら、私は生きていられる自信がない。

玲音のためなら、命だって惜しくなんかない。

きっと彼も、そう思っていたはずでしょう?

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