眠り王子と夢中の恋。
いくら経っただろうか。
数秒であったかもしれないし、
長い時間が経っていたようにも思える。
ようやく我に返った時は、
時計の針がHRの開始時間5分前を示していた。
慌てて花ごと花瓶をロッカーに置き、
鞄の中の荷物を机に詰め替える。
席に着くと同時に、先生が入ってきた。
危ない危ない。
「では、出席を取ります。藍原さん……」
いつものように、時間は過ぎていく。
なのに、私だけ違う所にいるみたいだ。
私の中の時間は止まったまま。
ずっと、全てがくだらなく感じて生きていた。