眠り王子と夢中の恋。





翌日、教室に入ると空気がいつもと違う事に気がついた。

内心不思議に思いながら机の方に向かうと、



「……っ!」



思わず硬直してしまった。
突っ立ったまま、机の上を凝視する。


花瓶が、置いてあった。
白百合の花が一本、挿さっている。

誰がやったのかはすぐに検討がついた。


ゆっくりと顔を回すと、やはり小春が取り巻きと一緒にクスクスと笑っていた。

クラスメートは、全員見て見ぬふりをし、
ギュッと口元を引き締めている。

昨日の私の一言が、この事態を招いたのだ。
むしろ、自業自得──そんな風にも感じてしまう。




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