眠り王子と夢中の恋。
ヒュー……
ドドンっ!
私の声がかき消されたかと思うと。
一発目の、大輪の花が夜空に咲いた。
「わぁっ……」
その綺麗さに、体勢のことなんて忘れて私はしばし見惚れる。
「……もしかして、花火は初めてか?」
「え、分かりますか⁉︎」
振り向くと、穏やかな笑みを見つめる玲音と目が合う。
そう、実は私は今までで初めて花火を見た。
「『海』に行った時も思ったけど、美夜は思った事が顔に出やすいんだよな」
「本当ですか……」
ここでは気が緩んでいるからだろうか。
現実ではこうならないよう、気をつけないと。