眠り王子と夢中の恋。
「……あ、また咲きますよ!綺麗ですね」
「ははっ、咲くと表現するのは初めて聞いたな」
私の肩に頭を乗せて玲音が笑うので、
サラサラの髪が首に当たってくすぐったい。
きっと、玲音と見るから綺麗なのだろう。
私は不覚にもそう思ってしまった。
その後も私たちは話しながら花火を見ていた。
でも、フィナーレの花火では感動しすぎて声が出なかったほどだった。
「こんな素敵な時間をつくってくれて、ありがとうございました」
深々と頭を下げる。
「いやいや、俺が連れてきたんだから。
それに楽しかったのは俺も同じだ。ありがとう」
ちょうどその時、鐘が鳴り始めた。
──「また明日な」
「はい。……行ってきます」──