最愛から2番目の恋
 そうだ、アヴァロン・カッツェにだけは連絡を入れなくては、とガートルードは怯えていたシカ獣人のデザイナーを思い出した。
 彼を脅した限りは、約束を守らなくてはいけない。

 クロスティアの市場規模はカリスレキアよりも遥かに大きい。
 クロスティアでの御披露目をまた任せると言えば。
 彼なら張りきって、凝ったデザインでも2週間くらいで仕上げそうだ。
 さて、次はどんなドレスで、クロスティアの社交界を驚かせようか。
 

 そんなことを考えながらも、獣人の国からは出来るだけ早く撤退して、癒しの聖女様に会いに行こう、と急いで馬車に乗り込もうとするガートルードの手を、機嫌を直したテリオスが優しく握り、彼女に囁いた。


「神の下僕に担がれた俺の御輿に共に乗るのは、トゥルーディだけだから」



 担がれた御輿だと言うが、その行き先を決定するのは、テリィだとガートルードは信じている。


 今は大人しくサンペルグの使徒達に進む方向を決められていても。
 必ず貴方は、その舵を取り返すだろう。
 その未来は、きっと直ぐそこにある。

 何故なら、貴方はまともになったとは言うけれど、その瞳を見れば、本質は変わらず悪党だから。
 



 まだ恋を知らない誰かに教えたい。

 最愛とは、そう呼ばれる存在ではなく。
 相手に向ける気持ちなのだと。



 ようやくお相手を見つけて、その意味を理解した元お飾り妃は。

 この先長い人生を共にする、最愛のただひとりの手を。


 これからも決して離れないように、ぎゅっと握り返した。




 
    おわり

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