逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
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 千曲川を一望する丘の中腹に、明日香ちゃんは手際よく防寒レジャーマットを広げた。

 少し狭いけれど三人で座るには十分で、真ん中にお稲荷さんの入ったホーロー容器を置くスペースもある。

「すごい、まさに絶景だ」

 千曲川と広がる平地、それを取り囲む田園風景、さらにその向こうにそびえる山々。その壮大な景色を目の当たりにして、蓮さんは静かに息をのんだ。

 私も蓮さんの隣に立ち、懐かしい風景を眺める。

「いいでしょう。ここは私たちの秘密の場所。中学の頃、明日香ちゃんと自転車でウロウロしている時に見つけたの」

「秘密の場所に連れてきてくれて、ありがとう」

 蓮さんのお礼の言葉は、いつも私をくすぐったい気持ちにさせる。

 私のほうこそ、大好きな場所に来てくれてありがとう──そう言おうとした瞬間、明日香ちゃんが私たちの間に割り込み、おかんキャラ全開でまくしたてた。

「ちょっとちょっと! 二人の世界に浸ってるんじゃないわよ! お稲荷さんいっぱいあるんだから、ほら、食べて食べて!」
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