逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
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 約束の時間より少し早く、明日香ちゃんが再び車で迎えに来てくれた。

 さっきまで着ていたパーカーとデニムではなく、今はふんわりと広がるフレアシルエットのフェミニンなワンピースに身を包んでいる。

 おしゃれが大好きな彼女は、同級生の飲み会でもいつだって全力投球だ。

「代行、予約済みだから、今日は私も飲んじゃうよ!」

 そう言いながら、慣れたハンドルさばきで車を駐車場に滑り込ませた。

 会場は、高校時代によく通った定食屋兼居酒屋「だぐらす」。

 学生ラーメンでお腹を満たした思い出が詰まっていて、地元で飲み会といえばまずここ、という定番のお店だ。

 暖簾をくぐって引き戸を開けた瞬間、「らっしゃあい!」という大将の威勢のいい声が響いた。カウンターも小上がりも常連客でにぎわい、包丁を握る大将の姿もあの頃のままだ。

 懐かしい光景に気持ちがほどけて、「ああ、帰ってきたんだな」と実感する。

「おう、毎度。みんな奥にいるぞ」

 大将は親指で奥のふすまを指した。
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