逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「薫、タクシー呼ぶね。蓮さんと一緒に帰って」

 明日香ちゃんがスマホを手に外へ出ていったそのとき、蓮さんの手がそっと私の手を包んだ。

 指先から伝わる温もりに、気持ちがほどけていく。だけどそれと同時に、込み上げてきたのは、やるせなさと切なさだった。

「薫……ごめん……」

 聞いたことがないくらい、弱く、滲むような声だった。

「謝らないで。蓮さんのせいじゃないって、ちゃんとわかってるから」

 そう伝えると、私はそっと腕を伸ばし、蓮さんの背を包み込んだ。彼も静かに応えるように、片方の腕を私の背中にまわしてくれる。

 いつもは頼もしい背中が、今は少しだけ力なくて──その弱さごと抱きしめたくなるような、そんな温もりだった。

 この人のすべてが、どうしようもなく愛おしかった。
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