逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 そのあとのことは、断片的にしか覚えていない。

 近くのシアトル系カフェに誘われたが、徹夜続きでグロッキーな上、さっきのプロポーズの羞恥からまだ立ち直れていなかった私は、顔を真っ赤にして「無理、無理です!」とつぶやき続けた。

 彼は気にする様子もなく、「じゃ、後日、改めて」と言ってLINEの画面を見せてきた。交換しようということらしい。

 それからどうやって帰ったのか覚えていないが、気づけば一人暮らしの部屋の真ん中に座り込んでいた。

 耳に残る「明日連絡します」という澄んだ声と、何よりこの見慣れないLINEアカウントによって、その出来事が私の妄想ではないということを思い知らされる。

「まぁ、LINE交換したとしても、連絡なんて来るわけないけどね」

 私は自分に言い聞かせるようにつぶやく。

 ドラマのような出会いなんて、現実にはそうあるものじゃない。あんなに素敵な人が実在するとわかっただけで、ラッキーだったと思おう。
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