逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「その人が薫の妄想じゃないって前提で言うけど……正直、詐欺じゃないか心配してる」

 ……あれ? それ、どこかで聞いた気がする。そうだ、明日香ちゃんにもまったく同じこと言われた。私はそんなに、妄想癖があるとか、騙されやすいタイプだと思われてるのだろうか……。

「大丈夫だよ。今週末、彼の家族にも会う予定だから」

「そっか、お母さんに会うんだもんね。……ねえ薫、『母が病気でお金が必要なんだ』とか言われても、絶対に渡しちゃだめだからね?」

「……わ、わかった。口座番号とか言われた瞬間に全力で逃げるから」

 友記子はグラスにワインを注ぎ足すと、軽くくるりと回して香りを確認する。それから唇の前で指を組み、天井を見上げながら呟いた。

「もし私が久しぶりにシナリオ書くとしたら……その母は、実は男性の年上の恋人で、クライマックスは江の島の断崖絶壁で罪の激白。どう?」

「ちょっと! いろいろ飛躍しすぎだし、端折(はしょ)りすぎ!」

 どうやら、妄想が激しいのは私だけじゃないらしい。そして、それが妙に嬉しかった。やっぱり私たち、なんだかんだでクリエイターなんだなと思えて。

「ねえ友記子。そのたくましい想像力がまだ健在なら……またシナリオ書こうよ」

 友記子は一瞬黙って、それから私の目をまっすぐ見て、にっこり笑った。

「そうだね。でもその前に、鎌倉コーデ、ばっちりレクチャーしてあげるから!」
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