逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
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 金曜の残業を終えたあと、私は友記子と一緒に表参道のセレクトショップへ向かった。

 本当は昨日、飲みながら教えてもらったコーデをメモしておいて、一人で買いに行くつもりだった。でも、私の計画を聞いた友記子は、呆れたように肩をすくめた。

「薫は背が高いから、ほんの少しのシルエットの差で、圧迫感が出ちゃうんだよ。色もね、微妙なトーン違いで顔色が悪く見えること、知ってた?」

「……なんとなく、そんな気はしてたよ?」

 服にはそういうミステリアスな法則がある。私だって、それくらいは感じていた。

「気持ちはわかるよ。薫みたいに会社と家の往復だけじゃ、おしゃれしても見せる場所ないもんね。だからこそ、彼ママに会うっていう一大イベントでは、全力で華やかにいかないと!」

 そう言ってから、友記子は声を潜めてつけ加えた。

「……それにさ、その彼がもし詐欺師だったら、おしゃれした薫を見て、ちょっとは罪悪感抱くかもしれないじゃん」

 ……友記子、まだ全然信じていないのね。

 彼女に連れていかれたのは、メイン通りから少し外れたフレンチビンテージ風のセレクトショップだった。淡いトーンでまとめられた店内には、普段の私ならまず手を伸ばさないような大人かわいい服が並んでいる。

 正直、ちょっと気後れする。友記子がいなかったら、そっと逃げ帰っていたかもしれない。
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