逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「なんで、おばあちゃんが……?」

 蓮さんは私の頬を両手で包み、顔をそっと近づけてくる。こんなときでも、彼が近づいてくるだけで、私の心臓は相変わらず速くなる。

「薫にこの話をしてほしいって、おばあちゃんに頼まれたんだ。よく聞いて」

 吸い込まれそうなほど深い色をした瞳を見つめ、私は頷いた。

「おばあちゃんも……僕と同じ、アルコール依存症の家族だったんだ」

 一瞬、頭が真っ白になった。

「……どういうこと?」

「おばあちゃんの旦那さん、つまり薫のおじいちゃんがね、母と同じ病気だったんだ」

 それから蓮さんは、あの日おばあちゃんから聞いた話を、ひとつずつ教えてくれた。

 おじいちゃんは40代で事業に失敗し、借金をかかえ、大量の酒を飲んでは家で暴れるようになった。おばあちゃんはその中で何年も苦しみ、家族を守るために、ついに別居を決めた。

 家族が去ったあと、ようやくおじいちゃんは断酒を決意した。けれど、その頃にはすでに肝硬変が進行していて……53歳で亡くなったそうだ。

「最期はね、断酒を続けて、家族とのつながりも少しずつ戻っていったらしい。まだ小さかった薫のことも、とても可愛がってたそうだ。だから、薫。おじいちゃんは、決して孤独の中で亡くなったわけじゃないから」
< 190 / 590 >

この作品をシェア

pagetop