逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 昨晩、静かな波の音を聞きながら蓮さんを抱きしめた感触。それはまだ、私の両腕に鮮明に残っていた。

 私が抱きしめたよりも強い力で、彼は私を抱き返した。蓮さんの体温と心臓の鼓動を思い出して、体が熱くなる。

 あんなに近くに感じて、蓮さんのことを今までよりも理解できたと思ったのに──。

 私の中で違和感が大きくなってくる。シャワーを浴びても、コーヒーを飲んでも、心の中のモヤモヤは消えなかった。いくら打ち消そうとしても、ひとつの可能性に行き着いてしまうのだ。

 もしかして……私、蓮さんに距離を置かれている?

 その考えが頭をよぎった瞬間、心がきゅっと締め付けられた。

 別々のベッドを用意してくれたのも、ビジネスライクなメモを残したのも、……今回は服を脱がさなかったのも。

 私にこれ以上近づかないようにしているから、だろうか?

 私は名探偵が推理をまとめるようなポーズをしてみた。腕を組み、顎に手を添えて、考えを整理してみる。うん、頭が冴えてきた気がするぞ。私の推理によると──。

 ……蓮さんは、私に変な期待を持たせたくないと考えてる。
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