逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
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 一番乗りで会社に到着し、さっき音声入力したメモアプリを開いた。

 内容を見直しながらノートに書き写し、それをもとにプロットの肉付けに取り掛かる。メモアプリは確かに便利だけど、私の場合、手を動かした方がアイデアが広がる気がした。

 午前9時を過ぎる頃には、社員たちが次々に出社してきた。私は皆に挨拶をしつつ、作業を続けた。

 途中、蓮さんからLINEのメッセージが届いているのに気づいた。心臓を掴まれたような甘い衝撃が走る。

『おはよう。体は大丈夫ですか?』

 昨夜のことが思い出されて、私は真っ赤になり、『大丈夫です。ありがとう』と、打ち込んだ。それから『書き置きだけ残して出ていってごめんなさい。シナリオに集中したいので、しばらく友記子のところに泊まります』とも。

『分かりました。落ち着いたら、話があります』

 話……なんだろう。

 もしかして、契約結婚なんてやめて、まずはお付き合いを……だったりして。そう考えただけで、頬が上気するのを感じる。

「……オザリヤース」

 青木くんが若者語で挨拶をしながら出社してきたので、私は慌てて妄想を打ち消す。そして、顔が火照っているのを隠しながら、急いで『了解です』と打ち込み、会話を終わらせた。
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